クルマ

チャイルドシートはなぜ必要?正しい使い方や装着時の注意点など

更新

2022/11/16

公開

2018/11/21

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

子どもと一緒にドライブをするときに欠かせないチャイルドシート。6歳未満の子どもを車に乗せる際には、チャイルドシートの設置は義務付けられているため、チャイルドシートの正しい使い方を知っている必要があります。そこで今回は、チャイルドシートの役割や、正しい使い方、装着時の注意点をご紹介します。

目次

1.チャイルドシートが必要な理由

チャイルドシートは、万が一の交通事故などによる衝撃から子どもを守るためのものです。衝撃から体を守るための対策として、大人であればシートベルトを装着できますが、体の小さな子どもは装着することができません。そこでシートベルトの代わりにチャイルドシートを用いることで、事故の衝撃から子どもを守ることができるのです。また、小さな子どもが走行中に動き回り転倒してケガなどをすることを防ぐ役割もあります。

チャイルドシートを使っていないと、交通事故時の死亡率は非常に高くなります。警察庁によると、チャイルドシートを適正に使用した子どもに比べ、使用していない子どもの致死率は約5.3倍という結果も出ています。

※1「適正使用」とは、チャイルドシートが車両に適正に固定され、かつ、幼児等がチャイルドシートを適正に使用している場合をいう。

※2致死率=死者数÷死傷者数×100

そもそも、6歳未満の子どもを乗せて車を運転する際には、チャイルドシートを使用することが法律で決められています。しかし、警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行った調査(令和4年)によると、チャイルドシートの使用率は74.5%。使用率は年々上昇傾向にあるものの、それでも依然として2割強が使用していないのです。

参考
子供を守るチャイルドシート(警察庁)

2.チャイルドシートは取り付けミスが多い

「チャイルドシートは使用している」という場合でも、実は適切に使用できていないケースも多いのです。警察庁の調査(令和4年)によると、チャイルドシート使用者のうち、適切に取り付けられていた割合は65.2%。また、子どもを適切に座らせることができていたのは49.5%でした。チャイルドシートを使用していても、約4割〜5割が正しく使えていないことになります。

取り付けが適切にできていなかったり、子どもを正しく座らせていなかったりすると、チャイルドシートの機能は十分に発揮できません。そのため、「チャイルドシートを設置しているから」と安心せず、正しく使用することが大切なのです。

参考
チャイルドシート使用状況全国調査結果(令和4年)

3.チャイルドシートにはサイズがある

チャイルドシートは子どもの年齢や体格によってサイズが異なります。主に、乳児用(ベビーシート)、幼児用、学童用(ジュニアシート)の3つがあり、それぞれの対象年齢や身長、体重は以下の通りです。

乳児用

  • 対象年齢:新生児〜1歳頃まで
  • 身長:70cm以下
  • 体重:13kg未満

幼児用

  • 対象年齢:1歳〜4歳頃まで
  • 身長:65cm〜100cm
  • 体重:9kg〜18kg

学童用

  • 対象年齢:4歳〜10歳頃まで
  • 身長:135cm以下
  • 体重:15kg〜36kg

しかし、これらはあくまで目安で、製品やメーカーによって異なる場合もあります。ですので、子どもの体格に合ったチャイルドシートを選ぶようにしましょう。
なお、学童用(ジュニアシート)とは、10歳頃までが対象のチャイルドシートです。6歳以上の子どもにはチャイルドシートの装着は義務付けられていませんが、事故による被害を少しでも抑えるためには、ジュニアシートの使用が有効でしょう。

4.チャイルドシートを取り付ける前の準備

自動車との適合性を確認して購入する

車種によって、取り付けられるチャイルドシートは異なります。「せっかく買ったのに、自分の車に合っていなかった...」という事態を防ぐためにも、ご自身の車に取り付けられるチャイルドシートなのかを確認しましょう。チャイルドシートのメーカーは、「車種別チャイルドシート適合表」を冊子やWebで出しています。もしわからなかったら、メーカーに直接問い合わせてみましょう。

部品が揃っているか確認する

取扱説明書を参考に必要な部品が揃っているか、破損していないかを確認しましょう。注意したいのは、友人から譲り受けた場合や中古で購入した場合です。こうした場合には、取扱説明書がなかったり部品がなかったりすることもあるので、まずは友人や販売者に確認してみましょう。
なお、取扱説明書はメーカーのHPで確認できる場合もありますし、部品もメーカーから別途購入できる場合もあります。友人や販売者が取扱説明書などを用意できないといった場合には、一度メーカーに問い合わせてみるといいかもしれません。もし、部品が破損・不足している疑いがある場合は、使用を中止し、新たな製品の購入を検討することをおすすめします。

5.チャイルドシートの基本的な取り付け方法

チャイルドシートには、「シートベルト固定」と「ISOFIX(アイソフィックス)固定」の2タイプがあります。「シートベルト固定」は、3点式シートベルトを利用して座席にチャイルドシートを取り付けます。一方、「ISOFIX固定」は、あらかじめ車に取り付けられている固定金具にチャイルドシートをカチッとはめて取り付けます。

2012年7月以降に販売された全ての新車には、ISOFIXの固定金具の設置が義務付けられていますが、それ以前に販売された車には、固定金具が付いていない場合もあります。まずは固定金具の有無を確認し、ご自身の車がISOFIX対応なのかを判断するといいでしょう。

それでは、シートベルト型とISOFIX型それぞれの基本的な取り付け方法を紹介します。ただしチャイルドシートによって取り付け方法が異なる場合もありますので、取扱説明書を必ず確認するようにしてください。

シートベルト型の取り付け方

<後ろ向きに設置する場合>

  1. 座席との間に隙間ができないようにして、チャイルドシートを後ろ向きに置く。
  2. シートベルトをチャイルドシートの指定位置に通し、バックルに「カチッ」と音がするまで差し込む。
  3. 肩ベルトをチャイルドシートの後ろ向き用の指定位置に通す。
  4. チャイルドシートを背もたれ側に押しつけながら、肩ベルトを強く引き、腰ベルトのゆるみをとる。

<前向きに設置する場合>

  1. 座席との間に隙間ができないようにして、チャイルドシートを前向きに置く。
  2. シートベルトをチャイルドシートの指定位置に通し、バックルに「カチッ」と音がするまで差し込む。
  3. 肩ベルトをチャイルドシートの前向き用の指定位置に通す。
  4. チャイルドシートの座面に肩ひざを乗せて体重をかけ、チャイルドシートを座席に押しつけながら肩ベルトを強く引き、腰ベルトのゆるみをとる。

★取り付け後のチェック

  • シートベルトにねじれはないか。
  • チャイルドシートを前後に揺すり、ぐらつきはないか。

ISOFIX型の取り付け方

  1. ISOFIXガイドキャップがある場合は、車のISOFIX固定金具に差し込む。
  2. チャイルドシートのレッグサポートを起こす。
  3. チャイルドシートの背面下部に2箇所取り付けられているコネクターを引き出す。
  4. コネクターを車のISOFIX固定金具に「カチッ」と音がするまで差し込む。
  5. レッグサポートの長さを調節する。 ※インジゲーターが赤色から緑色になっているかも確認する。

★取り付け後のチェック

  • 車の座席と背もたれにチャイルドシートがしっかり接しているか
  • チャイルドシートを前後に揺すり、ぐらつきはないか。

6.チャイルドシートを取り付けるときの注意点

装着は後部座席に

子どもの安全のためには、チャイルドシートは後部座席に設置するのが基本です。助手席に設置すると、事故でエアバックが作動した場合に、チャイルドシートが押され、子どもが吹き飛ばされてしまう可能性もあるからです。助手席に設置した方が子どもに目が届きやすいですが、万一の事故に備えて、チャイルドシートは後部座席に設置するようにしてください。

説明書を熟読してしっかり固定する

チャイルドシートの基本的な取り付け方は上記で説明しましたが、製品によって取り付け方が異なる場合があります。そのため、ご自身がお持ちのチャイルドシートの説明書を必ず確認し、それに従って取り付けるようにしてください。
また、チャイルドシートはしっかり固定されていることが重要です。警察庁の調査によると、チャイルドシートのミスユースの約6割は「腰ベルトの締付け不足」だったそう。取り付け後はチャイルドシートを前後に揺らし、3cm以上の大きなぐらつきがないか、取り付け後もゆるみがないかを定期的に確認するようにしましょう。

参考
チャイルドシート使用状況全国調査結果(令和4年)

7.チャイルドシートに関するQ&A

Q. ぐっすり眠っていたので、背もたれを水平に倒した。◯と✕、どっち?

大切なわが子を守るためにはチャイルドシートを「正しく使うこと」が重要になります。当たり前のことと思うかもしれませんが警察庁とJAFの調査によると、前述の通り約4割〜5割の人が間違った使い方をしています。例えば、乳幼児用チャイルドシートの背もたれの角度です。事故の衝撃から守るためには45度が最適で、赤ちゃんにとっては抱っこされている角度に近いため安心感が得られると言われます。また体重も10kgくらいになるまでは首がすわっていないため、車が正面衝突してしまった時にも頭をしっかり支えられるよう後ろ向きに設置しましょう。
そしてチャイルドシートの取り付けも大事なポイントです。シートがぐらつかないか、車の座面にしっかり固定されているか、大人が体重をかけてチェックすることも忘れずに行いましょう。

正解:✕

Q. 子どもがきつそうだったのでハーネスをゆるめてあげた。◯と✕、どっち?

子どもの安全を守るハーネスベルト(チャイルドシートについている子ども用ベルト)は、どのくらい締めたらいいのか加減が難しいもの。幼児の場合はハーネスを適度に締めた付けた後、身体との間に指を入れて、滑り込む程度であればOK。ぜひ目安にしてください。肩ベルトについては、「背もたれの通し穴の高さが肩より低くなっていないか」「ベルトにねじれやたるみはないか」「首を圧迫していないか」を注意しましょう。
また厚着をしたままだとベルトの締め付けがゆるいため、ハーネスから抜けやすくなります。上着を脱いでから座らせてあげると良いでしょう。

正解:✕

8.監修コメント

法律で6歳未満の子どもへの利用が義務付けされているチャイルドシートですが、6歳以上の学童用に用意されているジュニアシートも含め、子どもの安全のためにもしっかりと正しく利用するようにしたいところです。

一方で、チャイルドシートを準備するための費用も気になる点かと思います。チャイルドシートを準備するにあたっては「購入」や「レンタル」「知人から譲り受ける」といった方法があります。新品での購入となると安いもので1万円前後から高いもので10万円近いものもあります。レンタルでは1週間や1ヵ月単位といった期間によってさまざまですが、数千円からの利用ができます。

子どもと一緒に頻繁に車で移動する機会が多いのであれば購入する方が良いかもしれませんが、旅行や里帰りといった時だけの利用であればレンタルも検討するとよいでしょう。また、費用を抑えるのに中古品の購入や知人から譲り受ける方法もありますが、その際には劣化などがないか、しっかり確認しましょう。

参考
チャイルドシート使用状況全国調査結果(令和4年)

おとなの自動車保険はこちら

小山 英斗
監修
小山 英斗(こやま ひでと)

プロフィール:
未来が見えるね研究所 代表
CFP®(日本FP協会認定会員)、1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター(一般社団法人 住宅建築コーディネーター協会認定会員)
日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)

神奈川県の横浜を主な活動拠点としてFP事業を中心に、ライフプランニング、金融資産運用、不動産・住宅ローン相談、住宅建築相談、保険相談を強みとしたサービスを提供しています。銀行や保険等の金融機関やハウスメーカー等に属さない独立した立場からのお手伝いをしています。座右の銘は「虚静恬淡」。好きなものは旅行、建築、カフェ、散歩。

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

リンクをコピーしました